ベッド以外には何も無いようながらんとした部屋の窓からは
満月の青いような、白いような、冷たく、
それでいて優しいような光が差し込んでいた






月の光に包まれて






彼女の瞳は先ほどまでの情事をひきずっているのか、
とろん、としていて。
その濡れた瞳は月の光で輝いていた。


そっと。涙のあとの残る頬に手を伸ばすと、少し怯えたように身を竦めて。
それからす…と瞳を閉じた。




赤屍はその落とされた瞼にそっと口付けて
それから涙のあとの残る頬にそっと口付けて

彼女は目を開くと、あ。と何かを見つけたように声をあげた。




「…どうかしましたか?さん」
「…誕生日おめでとう、蔵人」




その言葉に、赤屍が時計を見ると、日付はもう変わっていて。




「…いちばんに言いたくて…」




誰よりも先に、私が。
彼女はそうぽつりと呟くように言うと、そっと赤屍に身を寄せた。

赤屍はその身体をそっと、優しく抱きしめると、耳元で囁いた。




「プレゼント…いただけますか?さん…」




ベッドに縫い付けられた四肢。
そっと、でも荒々しく奪われた唇。
響くのは甘い音。




「…いただけますよね?」




もう一度囁かれた言葉に抗う術も無く。抗おうとする気持ちも無く。

は静かに目を閉じて。
赤屍はそっと身体を沈めるのだった。









相変わらず月は冷たくも優しい光を放っていた。
二人を包み込むように。