幸せ。怖いくらいに。 felicidad 閉じられたカーテンの隙間から漏れる月明かり。 私は、今日は明るいんだなあとかぼんやり考えながら、全身を心地良いだるさに包まれてベッドに沈んでいた。 「大丈夫か?」 「え?あ、うん。…ちょっとだるいけど」 正直にそう告げると、彼は苦笑して私の髪を梳いた。 さら、と彼の指の間で髪が流れて落ちる。 「今日は明るいね…」 相変わらずカーテンの隙間からは月明かりが差し込んでいて、暗闇に包まれた部屋を仄かに照らしている。 「そうだな」 髪を梳きながら、彼は私にそう言葉を返した。 私は、天井に向けていた身体を動かして彼の方を向く。 こつ、と額を彼の胸に当てた。とくとくと心臓の音が聴こえる。 「どうした?」 「んー…幸せだなぁって思って」 ただ漠然と“幸せ”。 そう思って私は目を閉じる。 「唐突だな」 「だってそう思ったから」 こうして抱きしめられたり、口付けられたり、抱かれたり。 幸せで、怖いくらい。 「まぁ、俺も幸せだけど」 そう言ってちゅ、と額に口付けられた。 顔を上げると唇と唇が重ねられる。 大人しく目を閉じると、深く深く口付けられた。 「…もう一回愛確かめときますか?センセ」 ふざけたようにそう言いながら、やんわりとベッドに縫い付けられて。 「もう…バカ」 けれど、嫌という理由なんてどこにもなくて。 そっと、また口付けを交わすのだった。 |