どうして?と問われると、答えられないと思う。






only you






「せーんせ」

「葵理事?」




ぎゅ、とうしろから抱きしめられて。
ほわ、と背中があたたかくなった。




「あったかいのな、先生。落ち着く」




微かな煙草の匂い。

兄貴と同じだとあなたは笑うけど。
違う、優しい香りがする。

私の大好きな、優しい、あたたかい香り。




「俺、やっぱの事好きだよ」




耳元でそう低く少しかすれた声で囁かれてしまえば、必然的に顔が赤くなる。




「照れちゃいましたか?センセ。」




それを、からかわれて。
少し拗ねて、葵理事の顔が覗いている肩の反対側へ顔を背ける。



でも嫌な気はしていない。
寧ろ、この瞬間が幸せ。



それはきっと、あなただから。