背中につたわるあなたの体温。





a lovely sleep





「んーっ、疲れたぁ…」



私はノートパソコンを閉じて、大きく伸びをした。時計を見ると、既に2時を回っている。
明日もいつものように学校だ。私は、もう寝ようと布団に潜り込んだ。
サイドテーブルのベッドライトを消す。かち、と小さな音がした。



「やっと寝るんだな、センセ。」



背中の方から、声が聞こえた。その声に、私は少し驚きながら。



「葵理事…まだ起きてたんですか?」

「俺がを置いて先に寝るような奴だと思うか?」



葵理事はそう言って笑った。
かさ、と布団の擦れる音がした。それと同時に、ほわっと背中が温かくなるのを感じた。



「葵理事…?」



後ろから抱きしめられた状態に、私は少しだけドキドキして。
けれど、ぬくもりを感じて安心していて。
振り向こうと動くと、葵理事の腕に少しだけ力がこもった。



「おとなしくして、センセ。」



低く、少し掠れた声で囁かれてしまえば、私はもうそれに従うしかなくて。



「…こうやってると落ち着く。」



私は前に回された葵理事の腕にそっと手を添えた。自然と、瞼が落ちた。



「…私もです…」



抱きしめられたぬくもりを背中で感じながら、そう言う。
さっきまでの仕事の疲れなのか、安心したのか。
そこから私は急激に眠くなってしまって。
葵理事の腕を抱きしめたまま、眠りへと落ちていく。



「…おやすみ、センセ。」



完全に眠ってしまう前に、葵理事にそう囁かれた気がして。
私は、そのまま幸せな眠りへと落ちていくのだった。