「土門くん、」
「ん?」

 晴れた日の日曜日。彼の部屋でのんびり同じ時を過ごしていた。私は彼の腕の中にすっぽりおさまっていて、彼の体温を背中で感じていた。

「すごくしあわせ」

 なにをするわけでもなく、こうしてただくっついていられるだけでしあわせで、それをそのまま口に出す。土門くんは後ろからぎゅうと私を強く抱きしめて肩に顔を埋めた。短い髪が首筋にあたって少しくすぐったい。

「お前な……いきなりそんなこと、」
「ん、ごめん」

 でもしあわせなの。そう続けながら土門くんに体を預けて目を閉じる。

「……照れるから、」
「ふふ、知ってる」

 照れてしまうことなんて。でも土門くんは私のこんな突然の発言にも照れるだけで怒ったりはしないってわかってるから、私はしあわせを声に出す。いつも最後には笑ってくれる彼。やさしくて、あったかくて、春の木漏れ日みたい。だいすき。

「あー……もう、」

 埋められた肩から好きだとぼそり。小さく聞こえてきた呟きに、今度は私が照れてしまった。