「そっかあ、明日からアメリカか」

 フットボールフロンティアインターナショナルなるものがライオコット島であるらしいとが聞いたのはつい昨日のことだった。土門に呼び出されて、アメリカ代表に選ばれたからアメリカに行かなくてはいけないという話を聞いたは、おめでとうと素直に喜んだあと、少しだけ寂しそうにそう言った。

「ごめん、急で。俺のところに連絡が来たのも急だったんだ」
「なんで謝るのー。怒ってないよ?」

 申し訳なさそうにそう言う土門に、はそう言って笑った。

「でもしばらく会えなくなるのはちょっと寂しいなあ」
「……アメリカでマネージャーやるか?」
「あはは、だめだよー。私英語喋れないし」

 土門の半分冗談のような、本気のような言葉に、はそう言って苦笑した。それから、それにねと言葉を繋げる。

「私が好きなのは土門くんだから、マネージャーをやったとしても絶対土門くんのことひいきしちゃう」

 そう言っては笑う。そんなに、土門はなんだそれ、と言って同じように笑った。



「ライオコット島まで行くのちょっと無理そうだから一緒には行けないけど、」

 手を伸ばしてそっと土門の手に触れる。それからそのまま指を絡ませると、土門もの手をそっと握り返した。

「応援してるよ」

 はそう言って笑った。



 土門が呼び出したのはの家のすぐ近く。それでも送るという土門に、も素直に甘えて送ってもらうことにした。
 手を繋いで歩くふたりの影が夕日の中に伸びていた。

「終わったらすぐ帰ってくるからな」
「ふふ、お土産たくさん期待してるね」
「……お前なあ、」
「冗談でーす」

 そう言って笑うの頭を、土門も同じように笑いながらくしゃくしゃと撫でた。



「土門くん、」

 は立ち止まって土門の顔を見上げる。土門も足を止めた。

「いってらっしゃい」
「おう」

 の応援にこたえるように、土門は繋いだ手をぎゅっと握った。