「どうしたの、。そんなに僕の顔じっと見て。何かついてる?」

「んーん、ちょっとね…」





natural





ある春の日曜日。
部屋で二人、のんびりと勉強会。
不二は、じっと見つめてくるにそう声をかけた。



「あたし、不二くんのどこが好きなんだろうって思ったの。」

「え?」



そう言ったに、不二は驚いたようにそう声を上げる。



「あっ、だからって嫌いとかそういうんじゃなくてっ!!」



不二の反応に、は慌ててそう返す。



「じゃあ、どうして?」

「こうして二人で居て、一緒に過ごしたり、一緒に学校いったりとか…なんか当たり前になってきたから。
だから、改めてあたし不二くんのどこが好きなんだろうって考えてみたの。」

「そっか。それで、見つかった?」

「それがね…そりゃあ、不二くんはかっこいいし、優しくて好きなんだけど…
『ここ!!』ってポイントもないような気がして…」



はそう言って、手に持っていたシャーペンで勉強していたノートにぐりぐりと落書きを始める。



「クスクス。それ、ちょっとショックなんだけど」

「うん、そうだよね…ごめん。…だけどね、」



は、机に腕をついて、寝そべり、上目で不二を見つめる。



「不二くんが居ない、っていうのは考えられないの。…居て当たり前になっちゃってる感じ。
どこが好きっていうのはわかんないけど、私にとって不二くんは居て当たり前で。
居なくなるとか考えられなくって…――ってあたし何言ってるんだろうねっっ」



はそう言うと、照れ隠しなのか、また勉強を再開した。



「…うん、でも、僕もそうかもしれない。」

「え?」



不二の言葉に、は顔を上げる。



「だから、が居るの当たり前になってるってこと。…よく考えると、それって凄いと思わない?」

「凄い…って?」

「好きとか、そういうの全部通り越してる気がするんだ。」



不二がそう言うのを、は不二を見つめながら黙って聞く。
不二はそんなの顔を見て、クス、と幸せそうに微笑みながら続けた。



「居ないのが考えられないくらい、近くに居るってことでしょう?
それって凄いと思うよ。そう考えると、なんか嬉しいしね。」



不二はそう言って、の髪を梳き始める。
さら、と、の髪が不二の指の間を通っては落ちていく。
は、気持ちよさそうに目を閉じた。



「…うん、凄いね。…ふふ、不二くんって、凄い。」

「僕?」



不二は髪を梳いていた手を止めた。
は、幸せそうに笑いながら不二を見た。













「やっぱり、あたし不二くんのこと好きだよ。」

「なに、いきなり?」

「言いたくなったのー」



はそう言って、幸せそうに微笑んだ。
そんなを見て、不二も幸せそうに微笑んで、の耳元で愛の言葉を囁いた。