放課後。
部活が終わってすぐ。

空から大粒の雨が降り出した。






rain rain






テニス部が終わるのを待っていた私は、とりあえず屋根のあるところに行くと、
折りたたみ傘を取りだそうとかばんに手を入れる。


…と、そこである考えが浮かんで私は探すのをやめた。


















「待たせてごめんね」

「ううん、大丈夫だよ」




あれから少しして、傘をさした不二くんが私のところまで来てくれた。




「あれ、傘は?」

「あ、あのね………忘れちゃったんだけど…」




忘れたなんて、嘘。



少しの罪悪感を感じながらちら、と不二くんの表情を伺うと、不二くんはいつものように微笑んだ。




「じゃあ一緒に使おうか」




そう言って、不二くんはさしていた傘を少し私に差し出した。




「いいの?」

「待っててくれたのに雨に濡れながら帰らせるわけにはいかないよ」




だから、ほら。
不二くんはそう言って私の手を引いた。







いつもより近いところにあなたが居て。
憂鬱な雨の日が幸せ色になった。