「どうして……」

 ジャラ、と。
 が動く度に足首に巻き付いた鎖が鳴いた。泣きながら怯えた瞳で見上げてくるを、俺はただただ見下ろす。

 の足首に鎖を巻き付けたのは俺だ。俺だけのものにしたくて、どこにも行かないように、狭くて暗いこの部屋に閉じ込めた。鎖で繋いで、逃げられないようにして。

「なんで……っ」

 しゃがみこんで視線を合わせると、びくりと体を震わせて、俺を見つめる瞳が揺らいだ。
 怯えているのだ。怖がっているのだ。教会の裏の、出会ったばかりの子猫と同じ。
 わかっているのに、こうして閉じこめてしまうしかなかった。それしか、俺を、俺だけを見てくれる術がわからなかった。

…」
「や、だっ…いやっ」

 俺を遠ざけようとする腕を床に縫い付けた。倒れる音が静かな部屋に響いて、同時にまたジャラ、と鎖が鳴く。

「こんなの、いやだよ…!葉月くん…っ」

 本当はこんな顔させたいわけじゃない。笑って欲しい。俺だけを見つめて笑って欲しいんだ。

「…ごめん………」

 でも、無理だ。
 他の奴なんて見るな。


 なぜだか胸が痛い。俺は噛みつくように口付けるしかなかった。