彼に背中を預けて うしろから、やさしく包まれながら
たわいのない話を ひとつ ひとつ





ひとつ ひとつ





「それで、その時にね…」



あなたの部屋に、ふたり。
窓の外には大きな夕焼け。背中には、あなたのあたたかさを感じて。







たわいのない話。
その日、何があったとか、どう思ったかとか、楽しかったとか悲しかったとか。
そんな、どうでもいいような話を、あなたはひとつひとつ大切に聞いてくれる。










私は、あなたに比べて、まだまだ子供だから。
甘えちゃうといけないって思うけれど。
この時間が、ずっと続けばいいのに、と思うくらいに、心地よくて。



「ごめんね、花月さん。こんな、どうでもいいことばっかり言って…」
「そんなことないですよ。さんのこと知れますから」



振り向いた顔の、すぐ近くで、あなたは私よりもずっと綺麗に微笑んで。
あまりにも綺麗な笑顔に、私は思わず赤くなって。
そんな私に、あなたはそっと唇を落とす。



「もっと、さんのこと知りたいんです。」



そう言うあなたに、私はさっきよりももっと赤くなりながらも、うん、と頷いて。
またひとつひとつ大切に言葉を紡いでいった。