「さん、風邪をひいてしまいますよ?」 「うん……」 愛しい君 僕の肩に寄りかかって眠っている君にそう声をかけて 完全に目が覚めてしまったわけではない君は また規則正しい寝息を立てはじめた そんな君に僕は くす、とひとつ笑いをこぼして そっと君の髪に触れて 君の頬に触れて 今は閉じられている目の長い睫に触れて 君の唇に触れて まるで君という存在を確かめるように 君という存在が消えてしまったら 僕という存在も消えてしまうだろう ずっと傍にいたい そう思う僕は我儘だろうか? 愛しい君に 僕はくす、とまたひとつ笑いをこぼして そんな僕の肩に寄りかかって眠っている君は 僕の夢を見ていてくれたのだろうか とても とても嬉しい言葉を その口から紡いでくれた 「好きだよ、花月さん……」 |