大好きな貴方と手を繋ぎたいと思うのはいけないこと?






手を繋ごう






6月。梅雨の季節。今日は久々に晴れて、空は青く澄み渡っている。
久々のデート。久々の晴れた日曜日。折角だから外へ行こう、と、私は手塚くんを外に連れ出した。







手塚くんとは付き合い始めてもうすぐ4ヶ月になる。
けれど…

手塚くんは、私のことをなんとも思ってないのかもしれない。

最近、そんな考えが私の頭の中をぐるぐると回って離れようとしない。
私と手塚くんは、この4ヶ月間、二人で出かけることはあっても、手を繋いだ事はない。
名前で呼んでくれるようになったのも、ついこの間だ。
4ヶ月経つんだから、手くらい繋ぎたい、と思うのは、いけないことなんだろうか?

そう考えるものの、自分から言い出すには勇気が必要で。



「ねぇ、手塚くん、」

「なんだ?」

「えーっと…もうすぐ四ヶ月経つね。」

「そうだな。」



やっぱりなんとも思ってないのだろうか。私といても、楽しくないんじゃないかな…。
素っ気無い手塚くんを、ちら、と横目で見ながら、私は小さくため息をついた。







素っ気無いけれど、優しくて、頼りがいがあって。
そんな彼だから好きになったのだけど。
素っ気無さが、今は不安で仕方がなくて。



?…どうかしたのか?」

「えっ?あ…ううん、なんでもないよ。」



いつのまにか顔に出ていたらしく、私は慌てて笑って見せた。



「…さっきもため息をついていただろう?」

「えっ…あー…でも、なんでもないよ。」

「…俺と居て楽しいか?」

「えっ?」



私は思わず目を見開いて手塚くんを見た。同じことを考えているとは思わなかったから。



「私は、手塚くんと一緒にいられるだけで嬉しいし、楽しいよ?…手塚くんこそ、私といて…つまらなくない?」

「そんな事はない。お前と同じだ。」

「そっか…あのさ、手塚くん、」

「なんだ?」

「えっ…と…」



“手を繋ぎたい”って言いたいけど、やっぱり自分から言うには勇気が必要で。
私は思わず自分の手を見つめていた。





















少しだけ時間が過ぎて、先に行動を起こしたのは手塚くんだった。
手塚くんの手が私の手に触れた。そのまま、手は繋がれていた。
そっと、私の手を握った手塚くんは、少し照れて赤くなっていて。
私もそれにつられて赤くなっていた。



「…そういえば初めてだな。」

「うん、そうだね。」



繋がれた手から、ほんわか優しい気持ちが流れ込んでいる気がした。